クロトガリザメ (黒尖鮫、Carcharhinus falciformis) は、メジロザメ属に属するサメの一種。全世界の熱帯の外洋域で見られ、最も個体数の多い外洋性サメの一つである。深度50mまでの表層を高速で回遊する。体は細い流線型で、通常2.5m程度。第一背鰭が小さく、第二背鰭の後端が長く伸び、鎌型の長い胸鰭を持つことが特徴である。背面は金属光沢のある灰褐色で、腹面は白い。皮膚は非常に滑らかに見え、ここから英名 "Silky shark" が付けられた。
高速で粘り強い捕食者で、主に硬骨魚や頭足類を食べる。連携して小魚の群れを襲うことや、好物であるマグロを追って長距離を移動することがある。胎生で年中繁殖し、雌は1-2年ごとに16匹までの仔を産む。幼体は大陸棚の岩礁で成長した後、外洋へ出て行く。大きさと歯の形状から、ヒトに対して潜在的に危険だと考えられるが、外洋性のために遭遇する機会は少ない。個体数が多いことからフカヒレなどを目的に大量に漁獲され、マグロ漁による混獲数も多い。個体数は急激に減少しており、IUCNは保全状況を準絶滅危惧としている。