ガムシ(牙虫)は、甲虫目ガムシ科(Hydrophilidae)の昆虫の総称。またはその中の大型種 Hydrophilus acuminatus Montschulsky, 1853 の和名。
ガムシ類は一般的に沼や池など小さな止水系に住む水生昆虫で、外観からゲンゴロウ類と混同されることがしばしばあるが、系統的には遠く、エンマムシ類と近縁のグループである。
ゲンゴロウ類同様、付属肢には水かきの役割をする細毛が発達するが、付属肢、特に後肢の形態はゲンゴロウ類ほど特殊化が進んでいないため、ゲンゴロウほど流麗な遊泳は行わず、どの種類もまるで水中で体を小刻みに震わせながら早く歩くといった感じの遊泳方法である。小型種では、遊泳毛を欠くものも少なくない。
ガムシ亜族(大型種)では胸部下に後方に向かって、1つの尖った突起があり、これを獣の牙に例えて、牙虫と呼ぶようになったと言われる。
中国広東省・広西チワン族自治区(龍蝨、ロンサッと呼ぶ)・ベトナムなどでゲンゴロウ属など大型の種を煎ったり炒め煮にすることが多い。タイ、カンボジアなどで、素揚げにして食べる。トビイロゲンゴロウ・ヒメフチトリゲンゴロウ・コガタノゲンゴロウなどに加え、日本では絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)に基づき国内希少野生動植物種指定を受け保護されているフチトリゲンゴロウも中国・東南アジアでは食用に供されている。日本では代表種のナミゲンゴロウ(標準和名ゲンゴロウ)が長野県の一部(佐久地方)・東北地方(秋田県など)で食用にされる場合がある。